ピロリ菌のはなし 第1回

ピロリ菌のはなし 第1回 なぜピロリ菌が問題なの?


胃の中にすみつく細菌、知っていますか?


あなたは「ピロリ菌」という名前を聞いたことがありますか?正式にはヘリコバクター・ピロリといい、胃の粘膜にすみつく細菌です。日本人は特に感染率が高く、50代以上では半数近くが保有しているともいわれています。感染していても症状がない人も多いですが、放置すると慢性的な胃炎、胃潰瘍、さらには胃がんのリスクを高めることが知られています。


分子栄養学で見る胃酸と栄養の関係


ここで分子栄養学的な視点を加えると、ピロリ菌が単なる胃の病気だけでなく、全身の健康に影響を及ぼす存在であることがわかります。なぜなら、ピロリ菌は胃酸を弱める働きを持つからです。胃酸は食べ物を殺菌するだけでなく、鉄や亜鉛、マグネシウム、ビタミンB群などの栄養素を吸収するために欠かせません。胃酸が少ないと、栄養素が十分に体に取り込まれず、体全体に影響が広がっていくのです。


ピロリ菌と炎症の悪循環


さらに、ピロリ菌の存在は慢性的な炎症を引き起こします。炎症が続くと、体は常にストレスを抱えた状態になり、エネルギーを作り出す力や免疫の働きが低下します。これが「なんとなく疲れやすい」「体調がすぐれない」といった不調の背景に潜んでいることも少なくありません。


胃の中の小さな菌が全身に影響する


つまり、ピロリ菌は「胃の中の細菌」では終わらず、栄養吸収の不調と慢性炎症を通じて、全身の代謝や健康状態に影響を与えるのです。分子栄養学の視点では、この菌をどう扱うかが、糖尿病や歯周病、発達障害、鉄欠乏といった病気を考えるうえで重要なポイントになります。


次回予告


次回は「ピロリ菌と糖尿病の意外な関係」について。胃の中の細菌がどうして血糖コントロールに影響を与えるのか、その仕組みをわかりやすく解説していきます。  


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