ピロリ菌のはなし 第2回

第2回 ピロリ菌と糖尿病の意外な関係


胃の中の菌が血糖値に関係あるの?


「ピロリ菌は胃の問題だけ」と思っていませんか?実は最近の研究では、ピロリ菌が糖尿病の発症や進行に関わる可能性があることが示されています。一見すると無関係に見える胃の細菌と血糖コントロール。そのつながりを、分子栄養学的に読み解いてみましょう。


慢性炎症とインスリン抵抗性


ピロリ菌は胃の粘膜に炎症を起こし、それが長く続きます。この「慢性炎症」は、体のインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」を招きやすいのです。インスリンが効かないと、血糖値は下がりにくくなり、糖尿病のリスクが高まります。つまり、胃の炎症が全身の代謝にまで影響を与えるということです。


栄養吸収不足が血糖コントロールを乱す


もうひとつ見逃せないのは、胃酸低下による栄養不足です。ピロリ菌は胃酸を弱めるため、血糖調整に大切な栄養素が吸収しにくくなります。例えば、マグネシウムやクロムはインスリンの働きを助ける重要なミネラルですが、これらが不足すると血糖の安定が難しくなります。また、ビタミンB群は糖をエネルギーに変える回路に必要不可欠。これらが足りないと「食後に強い眠気が出る」「エネルギー不足で疲れやすい」といった状態につながります。


見えないつながりを意識する


糖尿病を考えるとき、食べすぎや運動不足だけでなく、胃の環境や隠れた感染症にも目を向けることが大切です。分子栄養学の視点では、ピロリ菌を放置すると糖代謝が乱れやすくなると考えられます。逆にいえば、胃腸の健康を整えることが、血糖コントロールを改善するきっかけになるかもしれません。


次回予告


次回は「口から始まる炎症──歯周病とピロリ菌」。口腔内の環境と胃の細菌が、全身の健康にどのようにつながっているのかを解説していきます。  


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