免疫のはなし 第5回

query_builder 2025/10/10
免疫のはなし 第5回

第5回 糖質・脂質・たんぱく質のバランスと免疫力


三大栄養素は免疫にも関係あるの?


「免疫力を上げるならビタミンやミネラルでしょ?」と思う方も多いのではないでしょうか。もちろんそれも大切ですが、分子栄養学ではまず三大栄養素のバランスを整えることが基本だと考えます。糖質・脂質・たんぱく質はただのエネルギー源ではなく、免疫細胞の材料や調整役としても大切な役割を担っているのです。


糖質 ― 摂りすぎは免疫の敵?


糖質はすぐに使えるエネルギーですが、過剰に摂ると血糖値が急上昇し、インスリンが大量に分泌されます。インスリンが過剰な状態は炎症を促し、免疫のバランスを崩してしまうのです。また、高血糖は白血球の働きを弱め、感染症にかかりやすくなることもわかっています。糖質をゼロにする必要はありませんが、質と量を意識して制限することが免疫力を守るカギになります。


脂質 ― 良質な油が免疫を支える


脂質は「太る原因」と思われがちですが、免疫にとっては大切な栄養素です。特にオメガ3脂肪酸は炎症を鎮め、細胞膜を柔軟に保ちます。免疫細胞がスムーズに情報をやりとりするには、この細胞膜の柔らかさが必要です。魚や亜麻仁油、えごま油などから摂れるオメガ3は、現代人に不足しがちな成分なので意識的に取り入れることが大切です。


たんぱく質 ― 免疫細胞の材料


免疫細胞そのものは、たんぱく質から作られています。抗体もサイトカインもすべてたんぱく質。つまり不足すれば免疫システム全体が弱ってしまいます。肉・魚・卵・大豆製品などを毎食しっかり摂ることが基本です。分子栄養学的には「体重1kgあたり1.2〜1.6g」のたんぱく質が目安とされています。忙しい日でも、ゆで卵やチーズなど手軽なたんぱく源を取り入れる工夫が役立ちます。


バランスを意識することが第一歩


三大栄養素のどれかを極端に制限したり、逆に摂りすぎたりすると、免疫の働きはすぐに影響を受けます。糖質は控えめに、脂質とたんぱく質は不足しないように。このシンプルな意識が、日常生活で免疫力を支える基本になります。


次回は「睡眠・ストレスと免疫 ― 自律神経とのつながり」についてお話しします。


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